あび卯月☆ぶろぐ

あび卯月のブログです。政治ネタ多し。
お気軽にコメントなさってください☆

理念なき国家 ~国益と国力と~

2006-04-28 01:39:28 | 政治・経済
今、政治学特講という講義を受けております。
私は大学で社会学、政治学を学びたかったのですが、
必修科目、教職課程、学芸員課程などの兼合いもあって、
三年間ほとんどそういう望みは叶えられぬままでありました。
四年になって初めて自由に講義が選べるようになって、受講してる科目の一つがこの「政治学特講」です。

教授はもと外務官僚で外交官。
百八ヶ国に赴き、八ヶ国に滞在し、外務省では主にテロ対策を専門になさっていたそうです。
思想的立場は中道右派親米と言ったところ。
官僚だとどうしても親米になるのでしょう。

今日の講義では国益とはなにかという話があり興味深く聴きました。

曰く、
国家の行動パターンは国益実現の為であり、
国益と国土の安全と国民の繁栄である。
国益実現の為には国力が必要であり、
国力とは即ち、軍事力・経済力・理念(正義)である、
と。

私もまぁ異論はありません。
ただ、国力に「理念」が入るのは多少疑問だったのですが、続けて

戦争をするにはいくら軍事力・経済力があっても理念がないと勝てない。
じじつ、ヴィエトナム戦争でアメリカが負けたのは理念がなかったからだ。


と言われ、なるほどと思いました。
さらに教授は

日本は経済力があっても軍事力が無いので、
経済力をもってして国益実現の外交を行なわなければならない。
しかし、経済力を維持するには諸国との協調が必要であり、
ゆえに日本は八方美人外交をせざるを得ない。


と仰った。
確かに日本の外交は「八方美人外交」です。
例えば国連でイスラエルに対する批難決議の時、
賛成はイスラームを国教とする諸国などのおよそ百ヶ国で、
反対はアメリカとイスラエルの二国、という事態が今まで何度も繰り返されています。
イスラム諸国には石油を依存し、方やアメリカには軍事力を依存している。
日本はイスラム諸国にも米国にもいい顔をしなければならなず、
「棄権」という選択をとるしかありません。

最近ではこういう八方美人外交をしない為にも
「アメリカから軍事的に独立すべきだ」
という声もよく聴かれるようになりました。
しかし、今の日本に缺けているのは軍事力だけではなく、むしろそれ以上に理念が缺けています。
なるほど、日本がいくら経済的に発展しても一等国になれない理由がわかりました。
第一、理念無きままに軍事力のみを強化しても意味がありません。
それこそ、「危険」でありましょう。
支那や朝鮮が日本の軍事力強化に懸念を示すのは何も単に日本の軍事力が高まることではなく、
理念無き国が高い軍事力を持つことにあるのかもしれません。
そういう理窟なら私も頷けます。
しかし、心配なさるな。
所詮、日本は高い軍事力を持つようになっても
それを動かしむる理念は到底ありません。
イラク派遣はどうなのだ、と言う方があるかもしれませんが、
あれも結局はアメリカの外圧に拠るもので日本が主体的になしたことではありません。
つまるところ、日本は外圧なしでは動かない。
やはり理念がないからです。

果たして今後、日本は理念を持つことが出来ましょうか。
恐らくは、今後、日本人が理念を持つようになるのは
今の経済力が衰退した時だと思っております。