すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

帰郷

2021-05-29 21:06:10 | 老いを生きる

まだ若いカエデの葉を
小刻みに震わせながら
林の道はひっそりと続いている

この道はいつか来た道
季節もたしか今頃

浅い谷に透明な水が流れ
道の辺に
ガクウツギやクサイチゴが
先へ先へと招いている

花の白は
安らぎと
無垢

それが不可能な願いならば
せめて
浄化

思い出そうとして思い出せないことは
起こったのではないことだ

忘れてしまいたいことは
忘れてしまうほうが良い

白い花に招かれるままに行ったら
この道の果てに
母が待っている?
幼年のぼくに会える?

それとも道は
さらにその先
暗い峠を越えて
生まれる前に続いている?

 それともぼくは歩きながら
 別の時間の入り口を
 探しているのだろうか?

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