部屋が狭くて布団がくっつくので
少しずらして間を空けて
それでも枕が近いのは緊張するので
互い違いに寝ころんで
若い頃の思い出話なんかしているうちに
昔の悪友 君は
すやすやと寝息を立て始めた
先に眠ってしまうというのは
望まぬ事態を避けつつ
気まずい空気にならないための
女の作戦なのだと聞いたことがあるが
もともとぼくにはもうそんな気はないから
要らぬ用心というものだが
たぶんただ安心して寝てしまったのだろう
(安心できる相手だというのは素直にうれしい)
それにしてもどうだろう この
おだやかな寝顔は
「温泉にゆっくり浸かってゆっくり休みたい」
と言っていたが
コロナ禍中の仕事で疲れ切っていたんだな
ぼくはと言えばいつものことながら
枕が変わると寝付けない癖で
(しかも今日は山を歩き回ったわけじゃなく)
明かりを暗くしてウイスキーを
ちびりちびり飲む
あんまり寝顔を見ていると
目の前の浴衣から延びた足を見ていると
案外の気持ちが起きるかもしれないので
暗い天井を見上げながら
二人で仕出かした無鉄砲などを
懐かしく遠く思い出しながら
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