toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「神人! 墓石書き換え人」 松本博逝

2019年05月10日 | 読書日記
以前読んだ「姥捨て山戦争」があんまりだったので、全く期待していなかったけれど、それほどひどい内容ではなかった。

墓石を触ると、その墓に埋葬されている人の生きている時代にタイムスリップしてその人と逢うことができる能力を得た、寺の息子である大学生の話。
ある人の死ぬ間際にタイムスリップしてその人を助けると、墓石に刻まれた死亡日が書き換わってその後も生き続けたことが分かるという設定。
ある時、若くして亡くなった大女優を知った主人公は彼女の墓が自分の寺の墓地に有ることを知り、彼女に逢いに行く。
実際に逢って彼女に魅せられた主人公は恋に落ちてしまう。
それ以来、毎週金曜日の夜に彼女に逢いに行く生活が始まる。
そして、主人公は彼女が殺される場面にタイムスリップし彼女を助ける。
現代に戻った彼は、彼女の墓が消滅していることを確認する。

設定が斬新でストーリもそこそこ楽しめるけれど、文章が稚拙だし、細かい展開にはかなり無理がある個所がテンコ盛り。
無理やり辻褄を合わせるような不自然な展開も有るし、もうちょっとどうにかならなかったのか・・。
ただ、後日譚になる最後のセクションは良い。




ロックウィット出版
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「女子的生活」 坂木司

2019年05月10日 | 読書日記
肉体的には男性だけど心は女性で、日常的には女装して女性として生活している。
ところが、恋愛対象は女性で、そこだけを傍から見れば正常に見えるけど、当人はレズビアンだと思っているという複雑な状況にいる主人公の話。
6章有って、各章が独立した話なので連作短編集の形になっている。

LGBTの専門用語(?)とかファッション関係の言葉が1ページに2つくらいの割合で登場する。
どちらにも全く興味が無いので意味が分からず、いちいち調べていたけれどあまりに数が多いし、意味が分からなくてもストーリの理解には何の関係も無かったのでそれはすぐにやめた。

読み始めてすぐにマニアックすぎる内容について行けず失敗したと感じたものの、読み進めていくと段々楽しくなって来た。
女性の感性も男性の考え方も理解できる主人公がいつも冷静に相手を観察して、自分の思い通りの結末に持って行くところが勧善懲悪の物語を読むようなすがすがしさがある。
登場人物達もみんな良い味出してるし、特に最後の後藤が格好良い。
もしかしたらなかなか良い小説だったのかも・・・。

それにしても読み始めたときと、読み終わった時の印象が180度変わった珍しい本でした。





新潮文庫
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