帰り道、駐車場から車道に出ようとしたところで車を止めた。カラスアゲハが吸水していたからだ。花にいるときはほとんど撮影のチャンスはない蝶だ。
ゆっくり接近するも、不意の手足の動きにもよく反応する。周囲に注意は払っているようだ。かと思うと、吸水中に交通事故に遭う個体もいるから個体差もあるのだろう。近くで観察していると、結構頻繁にオシッコを出している。
この個体はジックリと付き合ってくれた。吸水に満足したのか近くの草の上で羽根を広げた。金属光沢のある美しい青とも緑とも取れる羽根色を堪能できた。
生きている蝶の美しさは写真では伝わらない。見事の一言に尽きるが、手の届く距離で見続ける機会は少ないのだ。
『羽化したるトンボの数を読み取ればしみじみ見やる手の平のタコ』
『イトトンボアカトンボ群れヤンマ飛ぶ棚田に過ごすカゲロウの刻』
『次の田へ流るる水を遡る子蟹を見やるしゃがみて見やる』
『鍬使い田土を溶かす我が顔は汗と泥とでなまはげのごと』