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今日の筆洗

2023年03月18日 | Weblog
十九世紀、アイルランドでジャガイモの疫病が原因の飢饉(ききん)が起きた。「ジャガイモ飢饉」と呼ばれる。凶作は数年に及び、主食とする庶民は飢えた▼飢饉前、人口は八百万人超だったのに、十年で百五十万人前後減ったとも。飢えや、栄養失調の人々を襲う感染症で多くの命が奪われ、北米などに移り住む人も続出した▼『アイルランド紀行』(栩木伸明著)によると、村を捨てた父親が、後に話が分かるまでに成長した息子と問答する詞の歌が残る。「おお、息子よ、父さんだって生まれた土地を心の底から好きだったんだ/ところが飢饉がやってきて、収穫はなく、羊も牛も死んでしまった…」▼先月以降、韓国や日本のメディアが北朝鮮の食糧事情悪化を伝えた。餓死者が出ているらしい▼新型コロナウイルスの世界的流行で長く国境を封鎖し、中国からの物流が止まったことが一因との見方もある。言論や報道の自由のない閉鎖的な国ゆえ、詳細は不明。本当に深刻だとしても、昔のアイルランドの人々のように外国に渡ることは許されぬ国だろう。核やミサイルに使う金があるなら、まずは民の胃袋を満たせばよいのに▼先の本によると、アイルランドには「権力者が歴史をつくり、苦しむ人々は歌をつくる」という言葉があるという。武器で身を固めて生き残らんとするかの国にも、ひそかに歌われる歌があるのだろうか。
 
 

 


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