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今日の筆洗

2019年04月29日 | Weblog

 「朝ドラの登場人物たちはよく喋(しゃべ)る。みんな、よく喋る」。脚本家の岡田惠和(よしかず)さんがNHK朝の連続テレビ小説についてそんなことを書いていた(『TVドラマが好きだった』)。岡田さん自身、「ちゅらさん」「ひよっこ」など三作品を手掛けている▼放送は朝の忙しい時間なので、画面を見ず、聞いているだけでも理解できるように書くそうだ。目だけの演技などの場面は避けてセリフ中心のドラマを作る。それで「みんな、よく喋る」▼それが朝ドラのにぎやかさと明るさの理由だろう。現在放送中の「なつぞら」で百作品目となるそうだが、多くの作品で三世代同居などの大家族が描かれるのもそのせいかもしれぬ。「よく喋る」ドラマのためには「喋る相手」もたくさん用意しなければならないだろう▼朝ドラの世界とはかけ離れた状況である。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると二〇四〇年、全ての都道府県で六十五歳以上の高齢者世帯のうち一人暮らしが占める割合は三割を超える。東京都は五割近い▼高齢化の進行と未婚の増加は家庭の「喋る声」をここまでか細くしてしまうのか。朝、目を覚ましても、「喋る相手」のいない家。それがやがては日本の普通になっていく▼数十年後の朝ドラを、空想してみる。間違いなく、「よく喋る」家族は現在よりもずっとまぶしく、そして切なく映るはずである。

 
 

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