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今日の筆洗

2019年04月18日 | Weblog

 <精神の風が粘土の上を吹き渡るとき、初めて人間は創造される>。サンテグジュペリは、『人間の大地』で書いている。肉体だけでは人ではない。自然の風、誰かの息吹。心の帆がそれを受けて、人になっていくと言っていようか▼創作の中の人物もまた、作者が吹き込む風を受けて育つのだとすれば、漫画家モンキー・パンチさんの息吹は実に生命力に満ちていた▼描いていてキャラクターが勝手に動きだし、思っていたのと異なる方向に話が進むことがあったそうだ。「『ルパン、おまえいいかげんにしろよ』なんて思うこともあったなあ」。「ルパン三世」の原作者は、雑誌のインタビューで語っている▼怪盗の孫ルパンだけではない。泥棒にして人間味のある仲間らを送り出した。大人向けの味付けだったが、共鳴したアニメ作家らによって、子どもからも愛されるキャラクターに、育っていく▼少年時代に熱中した冒険小説などが創造の源だったという。舞台の大泥棒に喝采を送った伝統がある日本人の心に響いただけではない。悪漢小説の伝統を持つ欧州などでも人気になった。登場から半世紀が過ぎた。アニメはくり返しつくられ、映画にもなって、今も魅力を失わない▼モンキー・パンチさんが、八十一歳で亡くなった。各国語で訃報が流れている。なおキャラクターたちの中で生きる息吹を残した人であろう。

 
 

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