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今日の筆洗

2021年09月28日 | Weblog
十月も近いが、この夏の花はまだ、咲いている。漢字で書けば「百日紅」のサルスベリである。実際に百日も咲き続けるのかは知らぬが、夏の暑い盛りが似合う花が朝晩は少しひんやりもする今もがんばっている▼花の色は夏ほど鮮やかではない。心なしか紅の色がくすんでいるようにも見える。散り際の潔さをよしとする日本人好みのサクラとは違うが、サルスベリにはなんとしても咲き続けようとする「意地」のようなものがある▼通算勝利は歴代最多の千百八十七勝。「1187(イイハナ)」と覚えるか。つまらない語呂合わせと勝利の花を長く咲かせ続けようとする姿にサルスベリを重ねたくなった。大相撲の第六十九代横綱・白鵬。引退を決意したという▼幕内優勝回数は大鵬の三十二回を大きく上回る四十五回。横綱在位場所数は八十四場所。数字を挙げるまでもなく最強の横綱だった▼なるほど強くとも日本人好みの横綱ではなかったかもしれぬ。土俵上の態度やかちあげなどらしからぬ取り口に眉をひそめる向きもあったが、裏を返せば、これほど勝利にこだわった横綱もなかろう。なおも咲こうとしたが痛む右膝がそれを許さなかったか。無念であろう▼<世の中やひとり花咲く百日紅>正岡子規。勝負にこだわるあまり世間に背を向けたようなところもあったが、土俵を去ると聞けば寂しい。意地の花であった。
 

 


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