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今日の筆洗

2020年07月13日 | Weblog

 故郷に帰ってきた青年の紫色の服を見て母親が怒る。「なんておかしな服を着ているの!」「ブルックスに行って良いスーツを何着か買いなさい」。「華麗なるギャツビー」などの米作家フィッツジェラルドのデビュー作「楽園のこちら側」にこんな場面があった▼発表は一九二〇(大正九)年。ブルックスとは一八一八年創業の老舗ファッションブランドの「ブルックスブラザーズ」である▼そんな昔から「ブルックス」さえ着ていればどこへ行っても恥ずかしくないというイメージを勝ち得ていたのだろう。ケネディら多くの歴代米大統領があつらえ、信用第一のビジネスマンがこぞって着たというのも分かる。ジャズファンはその名にマイルス・デイビスのクールなスーツ姿を思い出すだろう▼日本でも六〇年代のアイビールック流行を受けた団塊の世代をはじめ、多くの男性にとって憧れのブランドだったが、最近、経営破綻したと聞いて、驚く▼男性の服装がカジュアル、軽装に向かう時代なのだろう。スーツが売れない。苦戦が続く中で新型コロナウイルスが拡大。外出自粛や在宅勤務でブルックスのスーツが活躍する機会は大きく失われたか▼リンカーン大統領が狙撃されたとき、着ていた服も同社製。日本国内店舗は営業を続けるそうだが、老舗の中の老舗まで倒すコロナという銃弾の恐ろしさにあらためて身構える。


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