東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2024年10月02日 | Weblog

 似顔絵と肖像画の違いについてその人が語るのを聞き、なるほどと思った。いわく、描かれた本人が見て喜ぶのが肖像画。反対に「本人が怒らないまでも苦笑する」のが似顔絵▼味のある似顔絵や世相を皮肉る作品で人気だったイラストレーターの山藤章二さんが亡くなった。87歳。さぞ、大勢の人を「苦笑」させてきたことだろう。苦笑どころか腹を立てた人もいるか。鮮やかな切り口と毒気の強いタッチ。そのひねりと誇張が世を大笑いさせてきた▼似顔絵は「批評」とおっしゃっていた。偉い人の「ぽろっとこぼれた人間味」をつかんで描く。たとえば、そそっかしさやずるさ。だから、描かれた人は思わぬ自分を突きつけられて「苦笑する」▼人物の内面までも見抜き、それをそのまま、描ける正直な筆をお持ちだった。作家の野坂昭如さんが自分の似顔絵について語っている。「ヒトというよりチンパンジーに近いのだが、ふと鏡を見れば、どんどん山藤の描く顔に似てくる」▼さて昨日、内閣を発足させた石破茂首相。たくさんの政治家を描いてきたその人なら、どんな石破さんを描くのだろう▼首相就任直後の支持率の「ご祝儀相場」だけを当て込んで、衆院解散に踏み切る必死の形相か。総務会長への起用を高市さんに袖にされ、泣き崩れる姿か。たぶん、石破さんが見れば「苦笑」ではすまぬ毒のある作品が浮かぶ。