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今日の筆洗

2020年09月19日 | Weblog
 世紀末のパリの舞台で活躍したサラ・ベルナールはレストランのメニューをせりふがわりに読み、人々の涙を誘ったと伝えられる。「黄金の声」を持つとたたえられた名女優である▼『セビリアの理髪師』で知られる作曲家ロッシーニは、「洗濯物のリストを見せてくれ、それに曲を付けてやる」と豪語したそうだ。オペラ「洗濯物」があったかどうかは知らないけれど、味も素っ気もないものが、その手にかかれば人の心を動かすものに転じる。才人たちの挿話である▼才能という言葉を使うのははばかられるが、悪事にその才能を投じる人間も絶えることがない▼実態がほとんどないような事業や存在すらしない商品は「ジャパンライフ」の元会長らの手にかかって、人の心を動かすもうけ話や商品に転じたようだ。磁気治療器などの預託商法を展開したジャパンライフをめぐり「マルチの帝王」の異名もある元会長ら幹部が、詐欺の疑いでついに逮捕された。高齢者らに巨額の被害が出ている▼元会長は顧客の前で自身の不幸を語って泣き、時に親身になり、あの手この手を使ったという。「桜を見る会」への「招待状」で信用を得ようとしたのもくわだての一つであろうか。破綻必至としか思えない事業を長く続けている▼巨大な詐欺の悪知恵を思わせる事件は過去にもある。劣勢には法改正などで対抗するしかないのだろう。

Sarah Bernhardt 1903 - déclamation française


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