東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2023年06月17日 | Weblog
 福井県若狭地方は天皇家と縁があり、古くから「御食国(みけつくに)」として京の朝廷に海産物などの食材を献上した。小浜の港は興隆し、京に通じる「鯖(さば)街道」は特産の鯖などの物資輸送や人々の往来でにぎわった▼十五世紀、現在のインドネシアのスマトラ島パレンバンを出港したとみられる南蛮船がゾウやクジャク、オウムなどを乗せて小浜に入港した。室町幕府の将軍への贈り物で、これが日本人がゾウを見た最初という。船の一行はやがて京へ向かった▼小浜市は市民憲章で「日本ではじめて象が来たまち」とうたう。上陸後にゾウをつないだと伝わる岩も残る▼天皇、皇后両陛下がきょうからインドネシアを公式訪問される。出発を前に天皇陛下が記者会見して「交流の歴史に思いをはせたい」と述べ、小浜にゾウが来た歴史にも触れた▼国際親善目的の外国訪問は即位後初めて。オランダとの間のインドネシア独立戦争を共に戦った残留日本兵も眠るカリバタ英雄墓地で花を供える。日本にゆかりのあるインドネシア人とも語り合う。両国の若い世代の交流がより盛んになることを願っているという▼外国に通じる海と都の間で栄えた若狭では、南蛮渡来の工芸技術に倣った若狭塗が発展し、京都祇園祭の流れをくむ祭礼も行われる。文化とは、旅する人と迎える人の長い営みが豊かにするのだろう。両陛下の旅が実り多いことを。
 
 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿