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今日の筆洗

2022年07月19日 | Weblog
鶴は千年、亀は万年。長生きの亀は縁起のよい生き物として昔から大切にされてきた。子どものとき、亀を捕まえて帰ると叱られ、亀へのおわびのしるしなのか、お酒を飲ませた上で逃がしてこいと教えられたものだ▼亀を逃がす風習は各地にある。『日本俗信辞典』によると千葉県ではウミガメが網に入った場合、亀を車に載せ、市中を巡回した上で酒とごちそうをふるまい、海に帰したそうだ。亀を助けると「大漁になる」(宮城、島根)「長生きできる」(大分)と信じられていた▼沖縄県の久米島の海岸近くで絶滅危惧種のウミガメが瀕死(ひんし)の状態で見つかったという。少なくとも三十匹。死んでいるものもあった。首などに鋭利なもので刺された傷もあった▼漁業関係者が駆除したと報道されている。絶滅危惧種だが、現地ではウミガメが増えすぎ、海藻を食べられ、網を破られるなどの漁業被害が出ているそうで、今回の件の背景になっている可能性がある。神さまの使いとも信じられる亀を手にかけるとは漁業関係者側にもよほどの事情があったか▼産卵時にウミガメは涙を流す。涙で体内の塩分を排出しているそうだが、この件に、その涙が人に傷つけられるかもしれぬ、わが子の未来を悲しんでの涙にも思えてくる▼ウミガメにも、漁業関係者にも涙を流させない共存の「竜宮城」。その道筋を探らなければなるまい。
 

 


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