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今日の筆洗

2024年02月24日 | Weblog
 ウクライナのマリーナさんは昔、起床時間より少し早めに目覚まし時計をセットした。目覚めてもあと30分眠れる-みたいなのが好きだったが、ロシアの侵攻が始まると、睡眠自体が嫌になった▼「眠るのが怖いんじゃなくて、眠りから覚めるのが怖いのです。砲撃で起こされるのが怖いのです。夢の後はすべてが元に戻るから…」。現実が酷だから夢は見たくないらしい▼彼女の話は、ウクライナの詩人オスタップ・スリヴィンスキーさんが欧州への脱出口、西部リビウに逃れた人々の体験に耳を傾け編んだ書物に収められる。ロバート・キャンベルさん訳の日本語版『戦争語彙集』が昨年暮れ、岩波書店から出た。「バス」「地下室」など77のキーワードごとに人々の証言が書かれる。マリーナさんの話は「夢」▼侵攻開始から今日で2年である。600万人超が国外に逃れ、百万単位の人が国内で避難する。戦地から離れても安らかに眠れぬのは同じかもしれない。反転攻勢を試みるウクライナ軍は勢いに欠け、敵は居座り続けている。先の見えぬ現実に心痛を察する▼先の本でワディムさんという人が「自由」を語っていた。「プレゼントしてくれることもなく、誰かに期待することはできないものなんです。自分の手で作る以外にない、ということです」▼悲痛な覚悟に、私たちには何ができるか思い巡らす節目の日である。
 
 

 


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