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今日の筆洗

2023年02月23日 | Weblog
ヒゲのある女の子、闇夜の宝石詐欺師、謎解きしない名探偵…。劇作家の寺山修司がある動物についてこんなことを書いている。詐欺師、名探偵?▼同じ動物について、作家の向田邦子は「偏食・好色・内弁慶・小心・テレ屋・甘ったれ・体裁屋・嘘(うそ)つき・凝り性・怠け者…」。悪口を並べた上でこう結んでいる。「私はそこに惚(ほ)れているのです」▼ともに暮らした経験をお持ちの方なら何の話か見当がつくだろう。ネコ。「ニャンニャンニャン」の鳴き声から二月二十二日は「猫の日」だったそうな▼人間にさほど関心もなさそうな彼ら彼女らである。一日遅れで小欄に書いても「どうでもいいニャン」と許してくれるだろう。そういうところがネコにはある。飼い主へのイヌのほとばしる愛情もいとしいが、ネコの人に対する絶妙な距離感もまた魅力だろう▼それでいてネコはきちんと人を慰める。たとえば、こちらが浮かぬ顔をしている時。イヌは走ってきて「大丈夫か!」と大声で聞いてくるようである。「元気を出せよ!」とも叫ぶ。ネコのやり方はちょっと違って「しょうがないよ…」とそっとつぶやく。気のせいか▼「ふしあわせという名の猫」(一九七〇年)は浅川マキさんの歌で作詞はやはり寺山さん。たとえ、「ふしあわせ」でも、近くにさえいてくれれば<私はいつもひとりぼっちじゃない>。わかる気がする。
 
 

 


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