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今日の筆洗

2021年06月29日 | Weblog
 池波正太郎さんの『鬼平犯科帳』には独特な盗みの技やクセを持った盗賊が登場する。「泥鰌(どじょう)の和助」という盗賊の「芸」は盗み細工という▼普段は腕の立つ大工職人。どこかの屋敷の新築や改築のとき、大工の仕事をしながら、ひそかに盗賊としての細工をほどこしておく。その細工によってらくらくと屋敷に押し入ることができるという寸法である▼盗み細工とは違うが、経産省で仕事をしながら、その経産省が所管する国の給付金をだまし取っていたと聞けば、泥棒と大工の二足のわらじの「泥鰌の和助」が浮かんでくる。経産省のキャリア官僚二人が詐欺容疑で警視庁に逮捕された▼二人が狙ったのは新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げを減らす中小企業を支援する、「家賃支援給付金」である。生活に困っている人を助ける大切なお金を二人は実体のない会社を使い、困っているふりをして受け取っていた▼国民のために働くべき役人が自分の懐を潤すために国民の金に手を伸ばす。だまし取ったカネで高級マンションに住み、高級時計、外車を購入していたともうわさされる。ふとい話でこれでは官僚が詐欺を働いたのか詐欺師が官僚になっていたのか分からぬ▼二人とも二十八歳という。学校の成績は良かったかもしれぬが、立場も良心も忘れ、取り返しのつかぬ犯罪に走るとは人生の損得勘定が不得手にすぎる。

 


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