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今日の筆洗

2023年06月15日 | Weblog
落語の「唐茄子(とうなす)屋政談」にこんなせりふがある。「おまんま粒を目で噛(か)めといわれてもできません」−。なるほど無理な話で、日本語の慣用句にはできないことをたとえる愉快な表現がたくさんある▼「あごで背中を掻(か)く」「あひるの木登り」「竿竹(さおだけ)で星を打つ」。今はあまり使われないが、その様子を想像するとおかしい。これは今でも使うか。「おととい来やがれ」。ひどい拒絶の文句となる▼無理の新たな表現を見つけた気になる。ただし、一切、笑えぬ。「全ての国民が安心して生活できるよう留意し」。性的少数者(LGBTQ)理解増進法案に加わった一文である▼性的少数者への理解を求め、行政や企業、学校にその取り組みを求めるはずの法案が、この一文が加わると印象はがらりと変わる。「性的少数者を理解しよう。ただし、全ての国民の安心が前提です」−。そう言っているように聞こえてしまう▼全ての国民の安心に留意するとは過酷な条件で、これが性的少数者の「希望」を拒むタテとなる可能性も否定できまい。この一文に当事者は政治から「おととい来やがれ」と言われている気にもなるはずだ▼性的少数者が国民の安心を脅かす存在であるかのような表現も気になる。性の多様性を認め、少数者の抱える生きづらさをなくす。決して「あひるの木登り」ではないはずだが、残念ながら、その道は遠い。
 
 

 


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