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今日の筆洗

2023年03月20日 | Weblog

池波正太郎さんの『鬼平犯科帳』のファンの方なら、かつての盗賊の世界で使われた「口合人(くちあいにん)」という言葉に覚えがあるだろう▼「一人ばたらき」の盗っ人を大仕事をたくらむ盗賊一味に紹介し、あっせん料をいただく。池波さんによると「口合人」の大半が「嘗役(なめやく)」も兼ねていた。盗みに適当な商家を探し、情報を一味に売る▼かつての「口合人」の仕事にSNSで人を集めて、強盗などの犯罪を行わせる闇バイトを連想する。政府は犯罪対策閣僚会議で闇バイトの根絶に向けた緊急対策を決定した。現代の「口合人」の退治はできるか▼闇バイトを集めるSNS上の投稿の削除などで人を悪事に誘い込む「声」をまず封じ込めようという戦術である。効果に期待したい▼加えて、大切なのは悪魔のささやく声に惑わされぬ「耳」を若者に持ってもらうことだろう。闇バイトの仕事にかかわれば危険な上に逮捕され、人生を台無しにしかねないことを強調したい▼『犯科帳』の「殿さま栄五郎」という話に、「鷹田の平十」という「口合人」が出てくる。荒っぽい仕事をする盗賊一味には人材のあっせんをためらうようなところもある人物だが、闇バイトにはそんな情けも容赦もあるまい。危険だろうと逮捕されようとおかまいなし。一度、口車に乗れば、抜けるのは難しくなる。いくらもらえても、その「バイト」は割に合わない。


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