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今日の筆洗

2024年03月25日 | Weblog
 青森市のねぶた祭の掛け声は「ラッセラー」。一説によるとろうそくや菓子を「出せ出せ」とねだる文句らしい▼同じ青森県でも弘前市のねぷたまつりは「ヤーヤドー」。こちらは「いや、いや、いやよ」という文句と関係があるそうだ。比べると、五所川原市の立佞武多(たちねぷた)の掛け声が最も強気に聞こえる。「ヤッテマレ」。意味は「やってしまえ」である▼千秋楽の大一番。歴史的な優勝を目指した郷土の若き力士に向かって、地元の五所川原では「ヤッテマレ」の大声援がわいていたことだろう。大相撲春場所は新入幕の尊富士が豪ノ山を破り、初優勝を飾った▼今場所中、何度も聞いた記録なので、覚えてしまったという人も多いか。「新入幕力士の優勝は1914年夏場所の両国以来、110年ぶり」。「ヤッテマレ」の期待に応え、その偉業を「ヤッテノケタ」。快挙というしかない▼優勝インタビューで「体がきつかった」と語っていた。それはそうだろう。前日に右足を痛め、救急車で搬送されている。土俵に上がるのもつらかったはずだが、気持ちの強さで勝利と大記録を離さなかったか▼110年前に新入幕優勝を果たした両国という力士。なんでも、以降は一度も優勝できなかったそうだ。縁起の悪い話か。いや、大銀杏(おおいちょう)の結えぬ髪ながらも不思議な風格さえ漂う、気力と落ち着きの力士には関係のない話と信じる。