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今日の筆洗

2023年02月17日 | Weblog

尾張・名古屋のシンボルは名古屋城の金鯱(しゃち)。戦災で天守閣もろとも焼け、今の雌雄一対は、天守閣が再建された一九五九年に登場した二代目である。うろこを覆うのは18金で、その量は雌雄いずれも四十キロを超える▼築城を命じた徳川家康や尾張徳川家の威光を示すために生まれた初代金鯱。熱田の浜に魚が寄らないほど光っていると歌に歌われるほど金ピカだったが後年、輝きは薄れた▼財政難に陥った尾張藩が複数回、金鯱の金の一部を活用しようと改鋳し、金の純度が低くなったため。威光より目先の金策が大事だった時期もあるということらしい▼過疎で財政難が続く岩手県田野畑村に先日、金の延べ板百二十枚の寄付があった。計六十キロという。全て換金して五億二千八百二十四万円になった。村の当初予算の約六分の一に相当。村は大いに驚き、喜んだ▼寄付者は「国内に住む人」で匿名。「村のために」と言っている。村長らが寄付者と会って金の延べ板を受け取り、すぐに貴金属店を訪ねて換金した。延べ板の輝きを見た総務課長は「光にも重みがあるものだと思いました」と語る▼戦後、金鯱を含む名古屋城天守閣再建には市民の浄財が多く寄せられた。名古屋市の財政も楽ではないがむろん、尾張藩のように金鯱はあてにせず、二代目の金の量は不変。鯱であれ延べ板であれ、尊い思いがあってこそ輝く気がする。