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今日の筆洗

2023年02月16日 | Weblog

カナダ映画の『魔女と呼ばれた少女』(二〇一三年)はコンゴ内戦のむごさを描いている。平和に暮らす村をある日、反政府ゲリラが襲う。大人は全員殺害し、子どもはさらっていく▼子どもを殺さないのは自分たちの兵士として育てるためである。十二歳の少女もその一人で銃の使い方をたたき込まれ、やがては「魔女」と呼ばれる戦士となる。「銃は私のお母さん」。感情をなくしたような少女。見ているのがつらくなる▼ロシアがやろうとしていることも、程度の差こそあれ、やはり同じではないのか。そんな疑念がぬぐえない。ロシアがウクライナの子どもをロシア国内にある「再教育キャンプ」に送っている−。米国の研究者が明らかにした▼その数は少なくとも六千人。生まれて間もない子から十七歳までの子どもが暮らしているという。「キャンプ」ではロシアの愛国教育に加え、軍事訓練まで行われているとの報告にさむけがする。ロシアの兵士としてウクライナの子どもを育てようとでもいうのか▼ロシア側は否定しているが、事実なら子どもの権利が踏みにじられている。実態のさらなる解明と対策を急ぎたい▼こうした子どもたちがロシア兵としてウクライナに送られた事実は今のところ、確認されていないものの、やがては自分の本当の故郷に銃を向けるようになってしまうのか。こんなに悲しい兵器はない。