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今日の筆洗

2022年06月23日 | Weblog

記録に残る日本で最も古い天文現象は「日本書紀」にあるそうだ。推古天皇二十八年というから西暦では六二〇年。「天に赤気あり」−。オーロラだったと考えられている▼藤原定家の「明月記」の中にも「赤気」が出てくる。一二〇四年二月のことで「北ならびに艮(うしとら)の方に赤気ありき(中略)恐るべし、恐るべし」。日本でのオーロラの出現は太陽フレアと呼ばれる太陽表面での爆発による影響があるという▼説明が難しいが、太陽フレアが地球上に磁気嵐を引き起こし、緯度の低い場所でもオーロラを出現させるのだそうだ。一八五九年の太陽フレア発生時はキューバやハワイでもオーロラが観測されたという▼「電気仕掛け」の現代では、大規模太陽フレアの影響は日本書紀や定家の時代とは比べものにならぬほど深刻だろう。総務省が最近発表した報告書によると最悪の場合、携帯電話が二週間程度、断続的に利用できなくなるそうだ▼そればかりではない。テレビ、無線もだめ。GPSにも狂いが出るというからカーナビも怪しくなる。電力インフラも、対策を取っていない場合は誤作動から広域停電を引き起こす危険があるという▼広い分野で大きな障害が予想されている。考えただけで、「恐るべし、恐るべし」だが、観測と予報システムの強化によって備えるしかあるまい。「赤気」が見たいって? 悪い冗談である。