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今日の筆洗

2022年06月11日 | Weblog
囮(おとり)は、招き寄せる鳥を意味する「招鳥(おきとり)」の変化した語と、ある辞典にあった▼カモ猟ではよく、おとりにアヒルの一種ナキアヒルを使う。よく鳴くのがいいらしい。数羽つなぎ、飛んでくるカモを銃か網で狙う▼皇室が鴨場(かもば)に賓客を招いて行う伝統のカモ猟も、おとりを使う。餌をやる合図の音に反応するよう訓練したアヒルを池から狭い水路に導くと、一緒に餌がもらえると思い込んだカモも池からついて来る。人の気配でカモが飛んだところを近くに待機していた人が網で捕獲する。体を傷つけない網を使い、後に放すが、あっさりと策略にはまるカモが哀れにも思える▼回転ずし大手「あきんどスシロー」の商法には客も「カモにされた」と怒ったかもしれぬ。格安のウニの商品などの在庫がなく提供できないと分かっていながら、テレビCMなどを続けたとして消費者庁が再発防止を求める措置命令を出した。景品表示法違反の「おとり広告」にあたるという▼会社側は謝罪のコメントを出した。客さえ呼べば、他のネタで商売ができると考えたのだろうか▼おとり猟はとれすぎることが問題で、カモ猟での生きたおとり使用を禁じた国も。狩猟の調査研究を続けた白井邦彦氏は六十年前の著書『狩猟入門』でその永続のため、ハンターが捕獲数を競う「多獲主義」を戒めた。数のみの追求が弊害を招くのは、商(あきない)も同じだろう。