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今日の筆洗

2022年06月15日 | Weblog
 「デートカー」と聞き、身を乗り出してくるのはバブル期に青春時代を過ごした五十、六十代の男性だろう▼ホンダのプレリュード、日産のシルビア、トヨタのソアラなどの若者向けの車がそう呼ばれ、当時、売れた。この手の車なら女性がデートに応じてくれるのではないか。少なくとも男性の方は信じていた▼三台のデートカーはとうに生産中止となっているが、内閣府の男女共同参画白書を読み、あの手の車が廃れるのも当然かと納得する。中学卒業から最初の結婚までにデートした人数を調査したところ二十代独身男性の約四割がゼロ人だそうだ。二〇二一年の婚姻件数は約五十一万件(速報値)と戦後最少だったが、結婚どころか、デートさえしない時代である▼そもそも結婚の意思がないという人もかなりいる。三十代では男女とも四人に一人はその気がない。「結婚するほど好きな人に巡り合っていない」「自由を縛られたくない」などが結婚しない理由の上位には入っている▼大きなお世話だろうが、理想が少々高すぎるか。昭和の価値観を振りかざし、結婚を無理に勧める気はないが、若い人が好きな人と巡り合えぬ時代がなんとももどかしい▼「人類は太古から帰りが遅いと心配してくれる人を必要としている」。米文化人類学者ミードの言葉だそうだが、心配してくれる人とうまく出会えない時代が心配である。