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今日の筆洗

2021年01月08日 | Weblog
  雪の中のツルが長い首をすっぽりと羽の中にしまい込み、凍ったようにじっと動かないで、片足で立っている。そんな姿を写真などでごらんになったことがあるだろう。「凍鶴(いてづる)」という▼<身一つに耐へて凍鶴眠りけり>永井東門居。防寒の知恵なのだろう。ツルの体温は四〇度と高く、ああしているとそれなりに温かいのかもしれぬが、微動だにせず風雪に耐える孤独な姿を見れば、こちらが凍えてくる▼どうやら、われわれが再び「凍鶴」になる番がやって来た。新型コロナウイルスの「吹雪」が強まるなか、政府は東京など一都三県に二度目の緊急事態宣言を発令する。不要不急の外出は控えるよう求められている。気うつだが、あの瑞鳥を習い、なるべく動かず、耐えるしかあるまい▼二度目である。最初の緊急事態宣言下での教訓を生かしたい。あの時、気分の重かったのは流行語にもなった「自粛警察」か。無論、自粛は大切だが、それを守らぬ人や感染者を必要以上に非難し、攻撃するような振る舞いだけは控えたい。人には事情がある。吹雪の中、自分の心まで冷たくしてはなるまい▼期間は二月七日までという。延長もあり得るが、この期間の辛抱がやがて実を結び、感染拡大に歯止めがかかると信じ、落ち着いて、日々を過ごしたい▼<凍鶴が羽ひろげたるめでたさよ>阿波野青畝(あわのせいほ)。春。羽を広げる日は必ず来る。