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今日の筆洗

2021年01月19日 | Weblog

 駆け出しのころ、デスクに原稿を渡すと、このデスク、受け取るなり「悪い顔つきをしている」と言う。「はあ、そうですか」と答えるしかない▼デスクが言うのは身どもの悪相ではなく、原稿の「顔つき」のことらしい。この稼業を長く続けていれば、読まずとも原稿用紙からにじんでくる雰囲気やにおいのようなもので芳しくない内容だと判断できると断言する。事実、悪相の原稿はよく直された▼つまらぬことを思い出させたのは菅首相の施政方針演説である。おそろしいもので長く政治を見ていると報道用の演説原稿案を手にしただけであまり期待できぬ内容と勘が働く。ホラだとおっしゃるか▼手に取った時、やけに厚く感じる。こういう場合はだいたい退屈さに身をよじることになる。「結婚式のスピーチとなんとかは短い方がいい」と昔はよく言ったが、政治演説も同じ。訴えるべきポイントが弱いから、政策を並べ立て、その説明にだらだらと字数を重ねることになる。大方、役人の仕事であろう▼演説を聴けば案の定である。おまけにこの方、熱意や心情を言葉に乗せるのが苦手なようで、こちらは眠気と闘うことになる▼と思いきや最後に目のさめるジョークがあった。政治の師梶山静六さんから国民への説明と理解が大切だと教えられ、信条としていると説明不足のこの人が真顔で言う。えっ、冗談じゃないの?