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今日の筆洗

2019年11月25日 | Weblog
 「十六歳でがんで死ぬより最悪なことはこの世でたったひとつ」。映画にもなった米国の青春小説『さよならを待つふたりのために』(ジョン・グリーン・岩波書店)の中にこんな言葉があった▼主人公は甲状腺がんにかかった十六歳の女の子である。がんで死ぬことよりも「最悪」とはなんだろう。女の子はこう続ける。それは「がんで死ぬ子どもを持つことだ」。自分のことを心配し、悲しむお母さんやお父さんの方が「最悪」であり、かわいそうだと言っている▼大阪市の十二歳の女の子が栃木県小山市で保護され、家に無事戻ったと聞き、胸をなでおろす。女の子も大変だったろうが、お母さんの心配で眠れなかった夜を想像する。女の子は三十五歳の男に連れ去られて、男の家から逃げ出したところを発見された▼会員制交流サイト(SNS)を通じて、知り合ったらしい。親の知らぬところで大阪の小学六年が栃木の三十五歳の男と簡単につながってしまう。親としては心配な時代である▼「知らない人には絶対についていかない」。子どもたちもよく分かっているはずだろうが、ネットとなると油断してしまうのか▼お子さんに教えていただきたい。子がいなくなれば親はどれほど心配するかを。もう一つ。ネットで知り合った人というのは「知っている人」ではなく、気を許してはならない「知らない人」なのだと。