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今日の筆洗

2018年08月04日 | Weblog
に残ったのは、転ばずに一番で走った子供よりも「二度もころんで、ひきはなされて、それでも走った泥まみれの」子供だったそうだ。よく分かる▼甲子園の夏がまたやって来た。勝利をつかむ限られた者と、それよりも圧倒的に多い敗者が、また生まれる。若者たちのプレーに目が離せないのは、「ころび、ひきはなされ、それでも走る」敗者たちを慰めたいと思うからか。山田さんの文章にふと思う▼ひょっとして慰めているのはグラウンドで嗚咽(おえつ)する球児だけではなく、過去のわれわれ自身か。夢はかないにくく努力は必ずしも報われない。それを思い知らされた大人は夢という白球をひたむきに追いかけ、希望というバットを信じて強振する球児にかつての自分を重ねる。白球に手が届かず、バットがむなしく空を切ったとき、若者のその痛みと、大人になったわれわれ自身の過去の夢に泣く▼夏の甲子園に懐かしさを覚えるのは、現在と過去が、若者と大人が交錯する場所だからだろうか▼百回の記念大会。気をつけてくれ。この夏はとびきり暑い。さあ行け。

 

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