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今日の筆洗

2016年02月29日 | Weblog

 パンや印度式カリーの老舗、新宿中村屋の創業は、一九〇一(明治三十四)年。創業者は相馬愛蔵さんとおっしゃる。店の名を相馬屋とするのなら不思議はないが、なぜか、中村屋である▼理由がある。パン屋を開きたいと考えた相馬は万朝報に広告を打つ。「パン店譲り受けたし」。応じたのが、当時、東京の本郷にあった中村屋。相馬はそのまま使った▼一つの知恵。店を新たに開けば屋号も変えたくなるが、それは「素人のうぶなところ」。中村屋の屋号は地元で既に知られていた。新しい名を広めるには多大な広告費と時間がかかる。「旧屋号を踏襲し得意(顧客)を散逸せしめず」。使い続けた方が利があると考えた▼カリーを食べてよくお考えになった方がよかろう。民主党と維新の党の合流に伴う党名の問題である。民主党の名は消えるのか、残るのか。政権運営の失敗などその名の印象は良くない。正直、最悪かもしれぬ。されど、軽々に名を変え「得意を散逸」させることも心配である▼民主。これ以上に政治理念を明快に表現する党名はなかろう。悪いのは名ではなく中身である。名を変えイメージチェンジ。事情は分かるが、どこか猪口才(ちょこざい)で腰の定まらぬ党の体質を世間は鼻白んで見てはいまいか▼重く、傷ついた看板だが、苦しみながら背負い続けて、高き山に挑む。そういう「辛口」を好む得意客もいる。