TOBA-BLOG 別館

TOBA作品のための別館
オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

ミツグ

2017年10月17日 | イラスト



ミツグ

海一族。
長の護衛を任されている。

カンナの兄で、
一族の若者をとりまとめる役目もしている。

腕は立つ。



服の下には飛び道具を仕込んでいる。

イラストからは伝わりにくいのですが
(スキャンが上手く出来ないのもありまして)
海一族はほとんどが褐色の肌です。

「海一族と山一族」28

2017年10月10日 | T.B.1998年

「トーマ」

ミナトが、ここだ、と手を振る。

そこは森の奥行った所。
木々が茂り
光が遮られ、薄暗い。

「あいつ、この奥に入っていった」
「分かった」

トーマはミナトに礼を言い
辺りを見回す。

なんとなく、
そうでないかと思っていた。
恐らくここを目指しているのだろう、と。

中間地帯と呼ばれる場所。
海一族と山一族の間にある
不可侵の土地。

さらにその奥で
生け贄は最後を迎えるとされている。

「気をつけろよ」
「ああ、直に皆も来るだろうから
 ミナトはここで誘導してくれ」
「分かった」

トーマは駆け出す。

「山一族」

後に続こうとしていたアキラに
ミナトが声をかける。

「……なんだ?」
「俺はここから先は行けない。
 トーマを頼む」
「???」
「そういう決まりなんだ」

トーマに追いついたアキラが問いかける。

「どういう事だ?」

えっとな、と
なんとも説明しにくいようにトーマは答える。

「海一族は信仰心が強くて、
 神聖な場所には長や司祭以外は
 立ち入ってはならないと教えられている」
「ここは、そうなのか」

トーマは頷く。

「決まりを破ると、雲が日を遮り、海が荒れると言われている。
 漁は天候で大きく左右されるからな。
 ………山一族にはそういうの無いのか?」
「白い熊は、神の使いとか」

それで、と
アキラは言う。

「お前は立ち入りが許されているのか」
「長候補だからな」
「意外だ」
「だろう。俺も常々そう思っている」
「悪い意味で言った訳では」
「いいって、
 変な占いで選ばれただけだ」

占い。
そう口から出た言葉に、
トーマは考える。

「アキラ、お前
 魔術は詳しいか?」
「いや、俺は専門ではない」
「俺もだ。
 多少使える者は居るんだが、
 専門の北一族にはとても及ばない」
「魔術、が、どうかしたのか」

「どの一族も
 使う事が禁じられている魔法があるらしい」

長になるための教養として
決して潔白ではない事を
学ぶこともある。

「古い時代に出来た魔法だが
 倫理に反するという理由で」

使ってはいけない、だが
止めるための知識として。


「人の命を犠牲にして使う魔法だ」




「山一族と海一族」31

2017年10月06日 | T.B.1998年

 ふたりがたどり着いた先

 そこは

 山一族と海一族の中間地点。

 お互いが不可侵とする場所。

「おい! ここだ!」

 そこで、誰かが手を振っている。
 先ほど裏一族を追いかけて行った者。

「あの裏一族、この奥に入っていったぞ」
「判った」

 トーマがその者に礼を云う。

 アキラはあたりを見る。

 うっそうと樹々が生い茂り、光を遮っている。
 薄暗い。
 降り続いた雨で足元はぬかるんでいる。
 そこに、道はない。

「気を付けろよ」

 海一族の言葉にトーマが頷く。

「山一族」

 アキラは、海一族を見る。

「何だ」
「ここから先、俺は行けない。トーマを頼む」

「……行けない?」

「そう云う決まりなんだ。さあ、行け!」

 ふたりは走り出す。

 走りながらアキラはトーマを見る。
 訊く。

「決まりとは何だ?」
「普通の海一族は、神聖な場所には立ち入れない」
「神聖な場所? ここが?」
「そうだ。知らないのか」

 アキラは首を傾げる。

 ここは、そもそもの中間地点。
 自身は普段、近寄ることはない。

「海一族は信仰心が強いからな」
 トーマが云う。
「決まりを破ると、海が荒れると云われている」

 つまり、海一族の要である漁が出来なくなる、と。

「山一族には、そう云うのはないのか?」
「うちの一族は……」

 海一族と、まったく同じだ。

 山の神「フタミ」の教えがある。
 決まりを破れば、同じようにフタミの逆鱗に触れる。
 天や山が荒れ、猟が行えなくなる。

 アキラは訊く。

「ここでは、海一族の神を祀っているのか」
「いや」

 トーマは立ち止まる。

 アキラも立ち止まる。
 足元を見る。

 突然、現れた道。

「ここは、」
「ここは?」

「生け贄が最期を迎える場所だ」

「……何?」

 アキラは息をのむ。

「お前、なぜそれを、」

「俺は、長候補だからな」

 ふたりの足元から延びる道。
 ここを通って、過去の生け贄たちは死へと向かったのか。

「この先に」
「カオリと裏一族が」

「アキラ」

 トーマが云う。

「お前、魔法は詳しいか?」
「いや。俺は専門ではない」
「俺もだ。多少使える者はいるんだが、専門の北一族には及ばない」
「魔法がどうかしたのか」

「どの一族にも禁じられている魔法があるらしい」

「禁じられている?」

「旧い時代に出来た魔法だが、倫理に反するという理由で」

 それでも、今もなお

 それは受け継がれている。

「人の命を犠牲にして使う魔法だ」



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