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オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

「水樹と嗣子」3

2019年06月25日 | T.B.2003年

「さて、無事当番を終えたことだし」

当番を終え、
水樹達は村に帰り着く。

「行くか!!
 朝パフェ!!」

なぁ、お前達!!と
水樹は振り返る。

「………あれ、嗣子は?」
「帰ったよ」

すでに遠くに後ろ姿。

「おおい、嗣子!!」

声をかけるも
立ち止まらず人並みに消えていく。

「良いって、兄さん。
 あいつが来るわけ無いし」

呆れた顔で
裕樹は言う。

「そうなのか、残念」
「あと、俺も
 朝パフェは勘弁です」
「そうなのか!!?
 まさか、朝食は抜くタイプ」
「いや、パフェは
 朝から重いって言うか」

「仕方無いな、
 それじゃあ……」

いただきます、と
朝粥の店で2人は手を合わせる。

「嗣子の事だけど」

粥に必要以上の薬味を振りかけつつ
裕樹は言う。

「一言で言えば、変わってる」

うええ、と
水樹はどうしましょうのポーズを取る。

「それ、俺もよく言われる」
「ああ兄さんも、うん。 
 否定はしない」
「してよ!!」

嗣子は、と、粥を口に運びながら
説明というよりは
愚痴のように言葉を続ける。

「人嫌いで
 ずっと家に引き籠もってて」

だから、
顔を知らない村人も多い、と。

「かと思えば、
 今日みたいに砂漠をほっつき歩いていたり」
「それって、
 実は砂と通じているんじゃあ」
「ないない!!」

あいつに限って絶対無いね、と
裕樹は言う。

「夜の砂漠が見てみたかった、とか
 そんなんだろ」

「それはそれで、行動力あるのでは」

「よく分からないんだよあいつ」

「逆に気になるぅ」

ちょっと嗣子と
お近づきになりたい水樹。

「放っておいた方がいいよ、兄さん。
 嗣子、人に構われるの
 嫌うからさ」
「この俺をもってしても!?」

その自信どこから来るんだろうと
感心する裕樹。

「特に、兄さんみたいな
 元気の塊みたいな人は
 なんというか、うーん拗らせそう」

へいへーい、と
裕樹の隣に座り
ガッ!!と肩を寄せる水樹。

「今までの話をまとめるとさ、
 随分嗣子に構ってたんじゃん??」

うえーっ、と
箸を置き、裕樹は水で残りをかき込む。

「言ったろ、近所だって」
「それだけ?」
「そう、だよ!!
 そういう意味じゃなくても
 顔見知りなら思うじゃんか」


「このままじゃ、
 いずれ本人が大変だって」


けれど

諦めたよ、俺は、と
裕樹は言う。

「もう、
 放っておいた方が
 本人のためなんじゃないかな」


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