「何!?」
「ねえ!!」
「落ち着け!」
火が、消えている。
暗闇。
3人とも少し眠ってしまったようだ。
「音!」
「鳴き声!?」
「熊だ!」
巧は、急いで火を起こす。
手元が、おぼつかない。
「華、いるのか!」
「ここよ!」
「みんな動くな!」
暗い山奥。
徐々に、目が慣れてくる。
「何が起きた!?」
「たぶん、かなり接近された!」
「熊に!? 嘘でしょ!」
やっとのことで、火が付く。
巧は持ちやすい枝を探す。
せめて、ふたり分。
「向!」
「すまん、巧!」
巧と向は火を持つ。
あたりを見る。
「いる?」
「……いる」
3人は息をのむ。
いる。
近くに、獲物。
熊。
「……どうしよう」
眠ってしまったばかりに、心の準備が出来ていない。
「道具は?」
「ある」
「武器も?」
「もちろん」
巧と向は、武器を持つ。
「狩られるなよ」
向が云う。
「狩りをするつもりが、このざまか」
「まいた方がいい」
巧が云う。
「不利な状況だ」
「何でだろうな」
「向」
「3人でいつもの狩りをするつもりだったがな」
「山を下りましょう」
華が云う。
「怖い」
「大丈夫」
巧は華を見る。
「山を下りよう」
3人は、あたりを警戒しながら荷物をまとめる。
「さあ、急いで!」
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