TOBA-BLOG 別館

TOBA作品のための別館
オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

未央子

2014年05月30日 | イラスト




未央子(みおこ)

東一族
T.B.2003年生まれ
159cm・A型

父:戒院(かいいん)
母:晴子(はるこ)

辰樹の従妹。
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小夜子

2014年05月30日 | イラスト




小夜子(さよこ)

東一族
T.B.2002年生まれ
155cm・O型

目があまり見えない。
宗主の屋敷で、使用人として働いている。



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「西一族と涼」9

2014年05月30日 | T.B.2019年

「涼」

 村長が、涼を見る。
 集会所には、ふたり以外、誰もいない。

「身体の調子はどうだ」
「よくは、ない」
「それで、獲物二匹仕留めたんだ。たいしたもんだよ」
 涼が、云う。
「神経が、……痛むんだ」
「古傷か」

 涼の、実の父親が、涼に差した刀が原因だった。
 神経がきかなくなる位置に、父親が上手いこと刺したらしい。

「これ以上、身体を動かせる自信はない」
「それだけ動けば、十分だ」

 普通に、暮らすのならば。

 けれども

「東への諜報員など、その身体じゃ無理だ」
 村長が云う。
「謹慎に、変えてやる」

 涼が首を振る。
 云う。

「いつかは、東に行くつもりだった」
「涼」
「それが、早くなっただけのこと」
「やめてくれ……」

 村長が、息を吐く。

「自分もそのつもりだったさ。お前を、東に行かせようと、な」
 云う。
「でも、そうしたら、お前、……帰ってこないだろ?」
 涼が、首を傾げる。
「それは、わからない」
「死ぬつもりで、東に行くんだろう」
「それもわからない」
「涼」
 涼が云う。
「刺し違えるつもりではいる」
 村長が首を振る。
「……お前を、失いたくはない」

 その言葉に、涼は、目を細める。

「それは、母さんのことがあるから?」

 村長は、答えない。

 涼は、再度、口を開く。
「俺の母さんのことで、後悔しているから?」
 村長は、涼を見る。
「あんたが、母さんに出来ることは、何もないよ」
「涼!」
 思わず、村長は、涼を掴む。

「俺は、母さんの代わりじゃない!」

 涼は、村長をにらむ。
 が
 その視線は、定まらない。

「……涼」

 涼は、うなだれる。

 しばらくして、涼が云う。

「妹が、……いる」

「え?」
「俺には、……妹がいるんだ」
「まさか」
 村長は、目を見開く。
「お前、そんなこと、一度も……」
 村長が訊く。
「両親とも、同じ、……妹なのか?」
 涼が頷く。
「そのはずだ」
「今は、どこにいる?」
「わからない」
 涼が云う。
「……もう、殺されているかもしれない」
 村長は首を振る。
「お前の妹の髪色は?」
「同じ黒髪だ」
「まさか、」
「あの父親だ。俺たちを生かしておきたいとは、思ってない」
 涼の言葉に、村長が云う。
「無事かどうか、確認したいんだな?」
 涼は、村長を見る。
 村長が云う。
「名まえは何と云う?」
 涼は、首を振る。
「今、どういう名まえで通っているか、わからない」

 涼は、村長の手を振り払う。

「だから、俺に、行かせてほしい」
 涼は、村長を見る。
「涼……」

 涼は、村長に背を向け、部屋を出る。

 集会所に、村長だけが、取り残される。

 村長は坐り込む。

 ふと、天井を見る。

 ただ、涼の母親を、思い出す

「なあ。あんたの子が、死のうと、……してる」

 村長は、呟く。
 誰かに、問うように。

「俺は、どうしたら、いい?」



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