10年以上前から二重構造のコーヒーカップを使っていたのですが、それは真空層
ではなく中空の金属カップでした。
中古品をリサイクルショップで買ったものですが、何時ごろどこの店舗で買ったかは
忘れてしまいました。そのカップは某酒造会社のキャンペーン景品のようで、大きく
ロゴがプリントしてあります。
当時外で働く時、必ずしもコーヒーの自販機があるとは限らず、コーヒーの粉末を
一杯分パッケージにした物とそのコップを持って出かけて行き、ポット等でお湯があ
れば使わせてもらって昼時に飲むということをしていました。
登山などでは、壊れにくいホーローの金属コップが昔から良く使われていましたが、
私も壊れる心配がなく、かつ重くない中空の金属コップは重宝していました。
それから何年かたって、巷で真空二重構造のコップが流行りだしました。
一時はブームにもなったので大抵の方はご存知だと思いますが、夏場に店頭で氷を入
れたカップを置いてデモンストレーションしている場面をしばしば見かけました。
値段も手ごろになり一個1000円を切ったころ、試しに使ってみようと思い、購入し
たのが一番小さなやつです。それは2年ほど使って性能に疑問が生じたので大きい物
に買い換えました。なぜかと言うと、コーヒーが冷める時間が思ったほど伸長しなか
ったからです。小さなコップに8分目まで入れるとふちの部分から放熱してどんどん
冷めてゆくのか、体感でそれほど長時間の保温は期待できなかったのです。
そこで大きいコップに6分目位まで入れれば、真空層の性能も発揮出来るのではな
いかと思ったのですが、これもそれほど違いはありませんでした。どうやら、蒸気に
よって逃げてゆく熱の方がはるかに大きいらしく、フタを別途購入してつけたりして
工夫してみたのですが、今度は使い辛さの方が勝ってしまったのです。
真空断熱容器の性能自体に疑問はなく、それは手が霜焼けになった事でも分かりま
した。それまで長い間陶器のカップで暖を取っていた習慣が返って仇となってしまっ
た形となったのですが、どこから熱が逃げてゆくのかという別の疑問が起きました。
前述のようにコップのふちはメーカーの製造法によっては溶接されているので1cm
くらいが一枚の金属板となっていて保温性は望めません。また、蒸気として逃げてゆ
く熱も冷める原因となっているようです。その傾向は容器が大きくなるほど大きくな
るように思えました。
そこで冷静になって、冷めにくい真空二重容器の形態と言うものを考えてみたので
すが、それは試験管のような形ではないかという結論に達しました。
試験管は細長く、同一容積での表面積と言う観点からだと球体と比べて著しく損失
があります。しかし真空容器の場合だとある高さまでの断熱性は保障されているので、
問題となるのはその水面の面積であることに気がつきました。
つまりタライのような形状の場合その損失は最大になり、試験管のような形状の時、
その損失は最小になるのです。こうした場合、フタの有無はそれほど重要ではないよ
うに思えます。
そこで、その様な形の容器を探したところ、ビール用の容器がその形に合致する事
がわかりました。一冬使ってみての感想は、まあまあ実用に耐えることが出来ると言
うものです。これは今冬の収穫の一つでした。
使っていない大きな二重容器は夏用に使うつもりでいます。大容量だと冷水を入れ
るのに最適であるし、熱湯の保温よりも冷水の保冷の方が効果があるという使用上の
特徴が真空二重容器にはあります。これは室温との差を見ても有利な条件があります。
0℃の水を室温30℃で保持する温度差と90℃のお湯を25℃の室温で保持する
のでは倍ほど差があるわけです。
3年かけてその結論に至ったわけですが、まあ次の真空断熱容器は買ったとしても
コーヒーカップ以外のものになる、と言う顛末でありました。
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