天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

善信尼

2017-04-19 | Weblog
 日本に初めて仏教が伝わったのは、
 『日本書紀』によると、552年(欽明天皇13年)ですが、
 538年(宣化天皇3年)とする説もあり、
 依然として決着はついていません。
 その以前から渡来人が個人的に仏教を信仰していたようですが、
 公的には、百済から仏教が伝来しました。

 こうした中で、日本で最初に出家したと言われているのが善信尼です。
 善信尼は、522年(継体天皇16年)に日本に渡来した司馬達等の娘で、
 俗名は嶋で、574年(敏達天皇3年)に生まれています。
 法隆寺の釈迦三尊像の作者として知られている
 仏師鞍作止利の叔母にあたります。
 嶋は、584年(敏達天皇13年)、百済から請来した弥勒像供養のために、
 高句麗から招いた僧恵便に師事、出家し善信尼と名乗りました。
 彼女が11歳の時の事で、こうして日本初の出家者が誕生しました。

 当時、仏教の受け入れを巡って、
 受け入れを推進する蘇我馬子とこれに反対する物部守屋との対立など、
 激しい対立が続いていました。
 翌585年(敏達天皇14年)、
 物部守屋に彼女は法衣を剥ぎ取られて全裸にされ
 海石榴市の駅舎で鞭打ちの刑に処されました。
 善信尼は、守屋に辱めを受けた後も、尼僧としての務めを果たし、
 588年(崇峻天皇元年)、戒律を学ぶため、
 15歳の時に百済へ渡りました。
 百済で彼女は十戒、六法、具足戒を受け、
 2年間の留学を終え、590年に帰国しました。

 帰国後は、馬子が提供した大和国桜井寺に住み、
 大伴狭手彦の娘善徳をはじめ多くの女性を得度、出家させ、
 仏法興隆に貢献したといわれています。

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