AKB48 チームBのファンより

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『カフカとでんでんむChu!』は矜持あふれるアイドルソング。(ときめき研究家)

2015-06-01 18:00:00 | ときめき研究家
AKB48『僕たちは戦わない』カップリング曲の中で、でんでんむChu!の『カフカとでんでんむChu!』を気に入った。

朝起きるとでんでんむChuに変身していたという設定で、カフカの小説『変身』が下書きになっている。『ニーチェ先輩』に続く、秋元康の蘊蓄シリーズの1編だ。
前衛的なその小説は、毒虫に変身した主人公を巡る不条理な小説だったと思うが、その設定を踏襲した上で、素敵なアイドルソングに仕立てている。

変身した彼女は、はじめはこんな姿では人前に出られないと思っていたが、彼から「なんて可愛い虫なんだ」と言われ、だんだんその姿を受け入れるようになって来る。見た目は人と違っても、個性的で魅力がある。素顔のままで魅力的。そんなメッセージソングと言える。うしろゆびさされ組『うしろゆびさされ組』や浅香唯『コンプレックスBANZAI』などに通じるテーマだ。SMAPの『世界でひとつだけの花』もそうだ。

もうひとひねりすると、普通の女の子とは違う「アイドル」であることを受け入れる少女の決意を歌った曲だと解釈することもできる。「歌って踊るでんでんむChu」という歌詞もある。
更に「スカートはいたでんでんむChu」というのがキメ台詞だ。このフレーズにはゾクゾクして来る。
「パンツをはいた猿」「長靴をはいた猫」「ギターを抱いた渡り鳥」。どれも、矜持を持った異端児のことを言っている。特別な能力や使命を持った異形の存在。アイドルもまたそういう存在だ。アイドルになった運命を受け入れ、その外見に愛着を持ち、生き抜いて行く覚悟を歌っているのだ。

「スカートはいたでんでんむChu」は『スカートひらり』を、「カチューシャしてるでんでんむChu」はもちろん『Everyday カチューシャ』を、「ウインクしてるでんでんむChu」は『へたっぴウインク』『ウインクは3回』を踏まえているのが洒落ている。

曲調は、シンプルなロック調のノリがいい曲だ。Aメロが『スキ!スキ!スキップ!』に少し似ている。
グループ合同のコンサートなどで、でんでんむChu!のレパートリーとして歌われるのだろうが、更に多くの機会で見てみたい曲だ。まずは『AKB48 SHOW』あたりでやらないか。
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