古川愛李推し読者からの投稿その9 作詞家としての秋元康
昨日までの記憶だけで
チャレンジしてはみても
今そこにある問いは 初めての難問だ 4
秋元康の作る曲にはいくつかのカテゴリーがあります。
一つは、大半のAKBの曲がそうであるように、基本的に男子目線で、特に片思いの男子のせつない気持ちや押さえきれない衝動を唄った歌。
それは、まるで永遠の高校生、高校時代のハート、イメージを60近くなっても持ち続けている秋元康の異常な?感性の賜物です。
なぜアイドルグループに男子目線の恋の歌を歌わせるのか、秋元康の意図、戦略は預かり知りませんが、独身男性が多数のファンの気持ちを代弁する曲を、ファンの疑似恋愛の対象であるべき女性アイドルたちに唄わせるという、何とも屈折し、ねじれた構図ですが、それが何気に若いヲタ心をくすぐるのでしょう。
昨日までの記憶だけで
手足 動かしても
目の前のその壁は 乗り越えられないんだ 1
二つ目は、等身大のAKBメンバー自身のことを唄った「初日」のような曲。
三つめは、ユニット曲に多くみられる、女子目線で、本人たちの個性を前面に打ち出した曲。
私は、むしろこういう曲の中に秀逸なものがあると思います。
例えば、ノースリーブスの曲に、私や娘が好きな「モノズキ1号」という歌がありますが、この歌詞はコンプレックスがありながら、プライドも高くて、男の子に素直になれない女の子が、他に可愛い子も、セクシーな子もいるのに、不器用にも愚直に自分に向かってくる男のことを、うれしいのに素直になれずに「なんてものずきなの」と軽く突き放してしまう。でも、そんな彼にどんどん惹かれていく自分こそ「モノズキ2号」だ、という歌詞を聞くと、峯岸みなみが自分の体験を唄っているかのような錯覚にとらわれます。
同じように見えるけど
今日は いつも新しい
イイカゲンくらいが きっと ちょうどいいんだよ 2
同じくノースリーブスの「ペディキュアday」は、7cm高いヒールを履いて背の高い彼に先にキスしたい、という背の低い女の子の心情を唄ったあたりがいかにも高橋みなみらしいし、一方、Not Yetの「元カレが結婚する時」は大島優子のことを唄っているように見える。
そのほかに、彼が大事にしている普遍的なテーマとして、私が注目しているのは、永遠の青春を志向し、大人になることへの抵抗を体現する、という永遠の高校生?秋元康の人生観を表わしたような曲群です。
苦い青春を振り返りつつ、つまらない大人(この表現自体が陳腐ではありますが)になるのを拒絶することは、古今東西、サリンジャーを代表とする多くの青春文学、映画、早世するロック歌手の常套的なテーマですが、秋元康の場合は、自分が成功した大人でありながら、その砂をかむような青春の蹉跌をリアルに表現したり、また、時にはそれを、何ともユニークな皮肉な教訓として歌詞にしているところに、ハッとさせられる面白さがあると思います。
アルバム「ここにいたこと」収録の「イイカゲンのススメ」は、後者の意味で実に面白い傑作だと思っています。
少しだけ大人になって(私が)学んだこととして、一般に言われるように真面目に努力するのでなく、イイカゲンに生きることが大切だ、というひとひねり効いた応援ソングですが、描いている内容は、なかなか真理を突いています。
大人になること=まじめにやること=昨日の記憶(=経験)に学ぶこと
but、目の前の課題も、難問も、どれもいつも新しい問題だから、過去の経験にだけ頼っていたのでは絶対に解けない。
むしろ、過去に頼らず、今の自分の頭で考えてぶつかるしかない。
それを「イイカゲン」と言っているのは、一流の照れで、結果を怖れ、コンサバになってガチガチになるのでなく、肩の力を抜いて柔軟にぶつかるに如くはない。
彼は、イイカゲン=サボっていいぞ、と言っているわけではなく、「いい加減」でしなやかに取り組むことで初めて、楽に生きること(=問題解決し前進できる)ができる、と言いたいのでしょう。
自分が、保守的で、過去の経験だけから判断する「ただの大人」になっていないか、身につまされる曲です。
しかもこの曲を篠田麻里子や小嶋陽菜、秋元才加といった、どちらかと言えば経験豊富な年配組が唄っているところが、何とも絶妙で味があり、メロディーやアレンジの軽快さと相俟って、実に忘れがたい曲になっています。
編集注:歌詞は引用できないので、ネットで調べてください。
もっとまじめにやろうと思って
努力していたら
誰も彼も ただの大人になった 3
ほぼ同じテーマをもっとストレートに、激しく唄ったBeginnerとは好対照だと思います。
膨大な曲の中に、時々ハッとさせられるフレーズや歌詞が無造作にちりばめられているのが、AKBの楽曲の魅力だと思います。
ただ、そうしたよい歌詞も、歌唱力、表現力がないがゆえに聞き流しただけでは伝わってこないところがもどかしくもありますが。
何もきっちりしなくていいんだ
何が正しいか?
やってみなけりゃわからないのさ すべて 5
次回は最終回
昨日までの記憶だけで
チャレンジしてはみても
今そこにある問いは 初めての難問だ 4
秋元康の作る曲にはいくつかのカテゴリーがあります。
一つは、大半のAKBの曲がそうであるように、基本的に男子目線で、特に片思いの男子のせつない気持ちや押さえきれない衝動を唄った歌。
それは、まるで永遠の高校生、高校時代のハート、イメージを60近くなっても持ち続けている秋元康の異常な?感性の賜物です。
なぜアイドルグループに男子目線の恋の歌を歌わせるのか、秋元康の意図、戦略は預かり知りませんが、独身男性が多数のファンの気持ちを代弁する曲を、ファンの疑似恋愛の対象であるべき女性アイドルたちに唄わせるという、何とも屈折し、ねじれた構図ですが、それが何気に若いヲタ心をくすぐるのでしょう。
昨日までの記憶だけで
手足 動かしても
目の前のその壁は 乗り越えられないんだ 1
二つ目は、等身大のAKBメンバー自身のことを唄った「初日」のような曲。
三つめは、ユニット曲に多くみられる、女子目線で、本人たちの個性を前面に打ち出した曲。
私は、むしろこういう曲の中に秀逸なものがあると思います。
例えば、ノースリーブスの曲に、私や娘が好きな「モノズキ1号」という歌がありますが、この歌詞はコンプレックスがありながら、プライドも高くて、男の子に素直になれない女の子が、他に可愛い子も、セクシーな子もいるのに、不器用にも愚直に自分に向かってくる男のことを、うれしいのに素直になれずに「なんてものずきなの」と軽く突き放してしまう。でも、そんな彼にどんどん惹かれていく自分こそ「モノズキ2号」だ、という歌詞を聞くと、峯岸みなみが自分の体験を唄っているかのような錯覚にとらわれます。
同じように見えるけど
今日は いつも新しい
イイカゲンくらいが きっと ちょうどいいんだよ 2
同じくノースリーブスの「ペディキュアday」は、7cm高いヒールを履いて背の高い彼に先にキスしたい、という背の低い女の子の心情を唄ったあたりがいかにも高橋みなみらしいし、一方、Not Yetの「元カレが結婚する時」は大島優子のことを唄っているように見える。
そのほかに、彼が大事にしている普遍的なテーマとして、私が注目しているのは、永遠の青春を志向し、大人になることへの抵抗を体現する、という永遠の高校生?秋元康の人生観を表わしたような曲群です。
苦い青春を振り返りつつ、つまらない大人(この表現自体が陳腐ではありますが)になるのを拒絶することは、古今東西、サリンジャーを代表とする多くの青春文学、映画、早世するロック歌手の常套的なテーマですが、秋元康の場合は、自分が成功した大人でありながら、その砂をかむような青春の蹉跌をリアルに表現したり、また、時にはそれを、何ともユニークな皮肉な教訓として歌詞にしているところに、ハッとさせられる面白さがあると思います。
アルバム「ここにいたこと」収録の「イイカゲンのススメ」は、後者の意味で実に面白い傑作だと思っています。
少しだけ大人になって(私が)学んだこととして、一般に言われるように真面目に努力するのでなく、イイカゲンに生きることが大切だ、というひとひねり効いた応援ソングですが、描いている内容は、なかなか真理を突いています。
大人になること=まじめにやること=昨日の記憶(=経験)に学ぶこと
but、目の前の課題も、難問も、どれもいつも新しい問題だから、過去の経験にだけ頼っていたのでは絶対に解けない。
むしろ、過去に頼らず、今の自分の頭で考えてぶつかるしかない。
それを「イイカゲン」と言っているのは、一流の照れで、結果を怖れ、コンサバになってガチガチになるのでなく、肩の力を抜いて柔軟にぶつかるに如くはない。
彼は、イイカゲン=サボっていいぞ、と言っているわけではなく、「いい加減」でしなやかに取り組むことで初めて、楽に生きること(=問題解決し前進できる)ができる、と言いたいのでしょう。
自分が、保守的で、過去の経験だけから判断する「ただの大人」になっていないか、身につまされる曲です。
しかもこの曲を篠田麻里子や小嶋陽菜、秋元才加といった、どちらかと言えば経験豊富な年配組が唄っているところが、何とも絶妙で味があり、メロディーやアレンジの軽快さと相俟って、実に忘れがたい曲になっています。
編集注:歌詞は引用できないので、ネットで調べてください。
もっとまじめにやろうと思って
努力していたら
誰も彼も ただの大人になった 3
ほぼ同じテーマをもっとストレートに、激しく唄ったBeginnerとは好対照だと思います。
膨大な曲の中に、時々ハッとさせられるフレーズや歌詞が無造作にちりばめられているのが、AKBの楽曲の魅力だと思います。
ただ、そうしたよい歌詞も、歌唱力、表現力がないがゆえに聞き流しただけでは伝わってこないところがもどかしくもありますが。
何もきっちりしなくていいんだ
何が正しいか?
やってみなけりゃわからないのさ すべて 5
次回は最終回
大人ジェリービーンズは女の子目線
渡り廊下走り隊は女の子目線の歌詞にすべきなのに、希望山脈、少年よ嘘をつけ、君は考える
渡り廊下走り隊は歌詞も曲もタイトルもぶっ飛んでる時がある。