元SKE48の松井玲奈が短編小説集を出し、評判だというので、早速購入して読んでみた。
内容や味わいの異なる6編の短編小説から構成されていて、かなり読み応えがあった。
6編とも作者の実体験とはかけ離れたフィクションと思われ、その創作力には感心する。
アイドルでありながら鉄道オタク、アニメオタクとしても有名で、役者としても個性的な役をこなしている。多芸の人なのだろう。
SKE48時代はW松井と言われながらも常に2番手扱いだった。奔放な松井珠理奈に対し大人しいイメージがあったが、卒業後はそういう呪縛からも自由になり、好きな仕事を楽しんでいるような印象を受ける。
彼が泊まるホテルの部屋に手作りの弁当を持参してデートするOLを描いた『ハンドメイド』と、マザコンで潔癖症の元彼のことが忘れないOLを描いた『拭っても、拭っても』の2作が特に気に入った。
2作の主人公は松井玲奈自身と同年代であり、心理描写にもリアリティがあるように思われる。会社勤めなどしたことがないはずだが、いかにもありそうな話だと思わせる。いや、実際にはないのかもしれないが、あってもおかしくないという創作上のリアリティがあるのだ。文章も端正で、難しい言葉は使っていないが軽く読み飛ばすことを許さない奥深さがある。会話もセンスがいい。
他の4編もそれぞれ味わいがある。少年の目から見た大人の秘密をSFチックに描いた『ジャム』、メイド喫茶で働く地方出身者の生活を描いた『いとうちゃん』、夫婦の小さな秘密を描いた『完熟』、ユーチューバー3人組のライブ配信中のハプニングを描いた『リアルタイム・インテンション』、いずれもひとひねりが効いていて、不思議に印象に残る。
芸能人が余興で描いた小説ではない。多芸の人、松井玲奈のまた新たな才能が明かになったというべきだろう。
松井玲奈出演映画『gift』の感想はこちら。
松井玲奈出演映画『笑う招き猫』の感想はこちら。
内容や味わいの異なる6編の短編小説から構成されていて、かなり読み応えがあった。
6編とも作者の実体験とはかけ離れたフィクションと思われ、その創作力には感心する。
アイドルでありながら鉄道オタク、アニメオタクとしても有名で、役者としても個性的な役をこなしている。多芸の人なのだろう。
SKE48時代はW松井と言われながらも常に2番手扱いだった。奔放な松井珠理奈に対し大人しいイメージがあったが、卒業後はそういう呪縛からも自由になり、好きな仕事を楽しんでいるような印象を受ける。
彼が泊まるホテルの部屋に手作りの弁当を持参してデートするOLを描いた『ハンドメイド』と、マザコンで潔癖症の元彼のことが忘れないOLを描いた『拭っても、拭っても』の2作が特に気に入った。
2作の主人公は松井玲奈自身と同年代であり、心理描写にもリアリティがあるように思われる。会社勤めなどしたことがないはずだが、いかにもありそうな話だと思わせる。いや、実際にはないのかもしれないが、あってもおかしくないという創作上のリアリティがあるのだ。文章も端正で、難しい言葉は使っていないが軽く読み飛ばすことを許さない奥深さがある。会話もセンスがいい。
他の4編もそれぞれ味わいがある。少年の目から見た大人の秘密をSFチックに描いた『ジャム』、メイド喫茶で働く地方出身者の生活を描いた『いとうちゃん』、夫婦の小さな秘密を描いた『完熟』、ユーチューバー3人組のライブ配信中のハプニングを描いた『リアルタイム・インテンション』、いずれもひとひねりが効いていて、不思議に印象に残る。
芸能人が余興で描いた小説ではない。多芸の人、松井玲奈のまた新たな才能が明かになったというべきだろう。
松井玲奈出演映画『gift』の感想はこちら。
松井玲奈出演映画『笑う招き猫』の感想はこちら。