新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

ブリタニカ国際地図

2018年06月03日 | 日記

 ブリタニカ国際地図。1992年にTBSブリタニカが刊行している。歴史小説を読みながら手元に置いてたえず参照している。地図部分だけで300ページあまりあり、巻末に細かな地名索引がついているので、本全体でおそらく400ページはある堅牢な表紙がついた分厚い地図帳だ。1989年にベルリンの壁が破壊され、東西冷戦が終結してからも、しばらくは旧ソ連邦がつづいていたおかげで、この地図帳は旧ソ連邦と東欧諸国をむかしのままで残す、おそらく最後の地図帳になった。ヨーロッパ世界に関しては古地図になったが、いま読んでいる「Poland」が1983年に出版されたポーランド史の本だから、貴重な古地図として使用している。
 ポーランドの隣はどのような国だったのか、リトアニア、ロシア、ドイツとの位置関係はどのようだったか、ビスワ川がどこをどう流れているか、などをこの地図から知ることができる。よい地図はそれが表す都市の位置関係だけでなく、地形をも教えてくれる。ポーランドの南側にそびえるカルパチア山脈はどこからどこまであるのか、どれほどの高さなのか、などが茶色系のグラデーションで一目瞭然になっている。
 むかし地図上で町歩きするためにミシュランの道路地図を買い集めた。ヨーロッパのみならずアメリカの町々についても細かく調査する必要に迫られ、アメリカ諸都市の地図も買いあさった。ただ都市間の位置関係や都市内部のようすは道路地図で十分に把握できるが、地形までは分からなかった。やはり個別の地図では不十分で、地図帳が役だった。
 最近ネット上でよく利用するグーグル地図は、その点が改善され、地形と都市の位置関係がともにはっきりとつかめるようにできており、しかもそれを拡大したり縮小したりしながら必要部分を確認できる利点をそなえている。これは便利だ。ただしそれは現在の地図についていえることであり、私のように古い時代の文章を読みながら参照しようとする人にとっては向かない。
 ブリタニカ国際地図で得ているもう一つの利点は、地名の読み方がはっきりする点だ。the Vistulaと出てくる川をビスワ川とだれが読めるだろう。ポーランド語をまったく理解しないで、ポーランドについての本を読んでいる私はワルシャワ、クラクフ以外の地名の読みかたにも自信がない。ましてや人名になるとかいもく見当がつかない。Lubonskiはルボンスキでよいのだろうか。名字であっても女性名になる場合はLubonskaになるのはロシア語とおなじらしい。
 いま第二次大戦中、ナチがポーランドに侵攻し、ユダヤ人につづいてポーランド人を根絶やしにしようとしているところにさしかかった。国としてのポーランドはとっくに消滅している。500ページ近くまで来て手に汗握る場面がつづく。







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