新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

ラッキーな結末

2018年12月27日 | 日記

 南方熊楠顕彰館は紀伊田辺にある。熊楠が結婚後に購入して住んだ住居の傍に田辺市が顕彰館を建設し、一般公開している。
 私たち3人は新大阪駅から特急くろしお号に乗りこんだ。自由席車両の座席はすべて前向きになっているが、くるりと反対向きにすることができる。こうして4人のボックス席をつくり、3人で陣どった。車両が空いていたから問題なかった。
 翌日の帰りは白浜駅からの乗車だった。12時半にずっとさきの新宮駅からくろしお号が来る。すでに相当数の客が乗車しているだろう。自由席で往路と同じようにボックス席を占有できるだろうか。駅員に相談した。「指定席なら4人の席をとれますか」との問いに「わかりません」との返事だった。
 3人はすでに弁当を買い込んである。さらに前日の夜飲むつもりで飲めなかった清酒「世界一統」の4合瓶をリュックに偲ばせてある。酒盛りするには、どうしてもボックス席がほしい。
 Sくんはめざいとい。すこし待って1時すぎになれば白浜駅発のくろしお号があることを見抜いていた。始発駅なら確実にボックス席がとれる。さらに駅近くに和歌山ラーメンの看板があり、美食家の彼はそのラーメンを賞味してみたかった。私は夕方には実家へ帰省することになっており、すこしでも早い電車に乗ることを望んだし、1時すぎのくろしお号が白浜駅始発であることは失念していた。
 弁当を買ってしまったいじょう、いまさら駅前のレストランには入れない。「世界一統」で打ち上げの酒盛りをするにもレストランではまずい。
 こうなったら運を天に任せるしかない。つまり自由席が空いていて、ボックス席をつくれればもうけものと思うしかなかった。
 幸運だった。電車のドアが開くと、空いている席に一直線ですすんだ。
 ちなみに「世界一統」とは、金物商だった熊楠の父が創業し、熊楠の弟があとを継いだ造り酒屋の銘酒だ。熊楠はその弟から多額の経済援助を受けていたものと推測されている。「終わりよければすべてよし」とはSくんのことばだった。





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