新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

スティーブ・ジョブズは発達障害だった

2020年08月25日 | 日記

「大人の発達障害」ということばがこの場合に適切かどうか分からない。自分が正しいと思いこんでしゃにむに動いてしまい、歯止めがきかなくなる人がいる。一度そう思いこむと、もう周囲の人がなにをいおうと耳を貸さない。協調性がないのだから、周囲の人たちにとっては迷惑このうえないのに、本人は自分が正しいことをしていると思いこんでいる。スティーブ・ジョブズは少なくとも1984年から1985年にかけてこのタイプに陥っていた。
 ゼロックスと経営統合し、アップルの弱点を補おうとする両者トップどうしのだいじな会談で、スティーブがゼロックス幹部の認識不足を口汚くののしってしまう。マッキントッシュ・コンピュータの売れ行きが悪く、過剰な在庫を抱えていることを認識しながらも、マッキントッシュがアップルⅡcより優れていることを主張し、譲らない。CEOジョン・スカリーの信任が厚く、executive vice presidentに抜擢されたとたんに何にでも口をはさむようになり、その配下にいる部長級の役職に仕事をまかせ、決定をくださせることをしなくなってしまう。自らの傍若無人な振る舞いをまったく省みることがない。
 部下たちはCEOであるジョン・スカリーに泣きついてくる。ジョン・スカリーはペプシで苦労し、年齢もジョブズより15歳ほど上だったせいもあり、会社全体の脆弱な体質を見抜いていた。ついにスカリーが伝家の宝刀を抜き、役員会の同意のもとにジョブズを退職に追いやった。ジョブズがその会社の創設者だったにもかかわらず、マッキントッシュ部門主任の地位しか与えられていなかったのは、まだ20代と若くて経験不足であることもあったが、おそらくこの「大人の発達障害」とも呼べる性格のせいだったのではなかろうか。しかしこの性格のせいでマッキントッシュという優れたパソコンを開発できたのだし、ジョン・スカリーをペプシからアップルへ迎えることができたことも事実だ。
 いったんアップルを去った何年か後にアップルに返り咲き、その後アイフォンなどで数々の快進撃を遂げていくジョブズをも、この病名のもとで捉えることができないことはいうまでもない。そこには自らの努力によるなんらかの自己変革があったと思われる。ジョン・スカリーの自伝「Odyssey/Pepsi to Apple」は1990年代初頭で留まっている。





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