新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

The Town Week

2020年06月12日 | 日記

 朝、可燃ゴミを出すか不燃ゴミを出すか、あるいは資源ゴミかプラゴミか。夜はテレビで何の番組を観るかで曜日の感覚が多少は戻るが、概して曜日を意識しないで生活している。
曜日の感覚がなくなりつつあるいま、むかし読んだエッセーを思い出した。E.V. Lucasが書いたThe Town Weekはペンギン・ブックスのThe Book of English Essaysに収められている。イギリス、ロンドンの郊外に住む文筆家にとって、曜日の特徴はこうだった。

 月曜日。a courageous beginner、つまり1週間の生活を果敢に始める日。a feeling of revolt、すなわち週末の気分を一新して新たな挑戦を開始する日でもある。そのrevoltに十分に適応しきれない人には、Mondayishという言葉があるとおり、少々憂鬱な気分がつきまとう。
 現代日本でもこの点に異論はない。月曜は始まりの日であり、さっそうと出勤、登校する。だが、職場が、学校がいやな人にはブルーな日でもある。
 火曜日。a tame follower、つまり前日からの流れにだらだらと従う以外にしかたがない日。Tuesday is nothing、つまり火曜は何もない日だ。特徴がない。惰性の日といえる。レストランの料理人でさえ火曜の客には腕を振るおうとしない、とルーカスはいう。
 水曜日。居眠りから目覚める日だ。にわかに活気を帯び、転回点になる、週後半の活動への原動力が沸き起こる。友人に会うにはこの日がよい。週末の旅行から帰っているし、次の旅行にはまだ間がある。人が確実に家にいる日だ。
 学校に勤めていたころ、水曜は会議の日だった。各種の部会、職員全員が集う職員会議はきまって水曜に設定された。この日なら全員が学校にいる。だれも出張しない。会議が終わったあとは、たいていご苦労さん会で、街の飲み屋へくり出す。飲み会の日でもあった。
 木曜日。水曜のあの活気は影を潜め、またしても沈滞の日になる。
 金曜日。あわただしく希望に満ちた日。土曜日とある程度、運命をともにする日だ。anticipation、つまり週末への助走日として期待がつのる日だ。だからFriday is perhaps the best day of the weekとルーカスはいう。こう見てくると奇数番目の日に活気があるのに対して、偶数番目の火曜と木曜はよどんだ空気をもつ。
 現代日本のデパートやスーパーが、金曜になると品揃えを充実させ、週末の客の殺到に備えることも、当時のイギリスと同じだろう。
 土曜日。この日はこま切れの日だ。日曜日の準備の日であり、半分仕事をして早く帰宅する日でもある。落ち着かない日だ。
 現代日本の学校は1992年3月まで毎週土曜は半ドンだった。その後、月1回の土曜休業などを経て、完全週5日制へ移行したのは2002年4月のことだった。
 日曜日。この日については個人差がありすぎるので、ルーカスは一概にいうことを差し控えている。宗教により、職業により、過ごし方の差が大きすぎる。
 現代日本でも同じだ。土日を稼ぎどきとして忙しく働く人がいるいっぽうで、ゆったりした週末を楽しむ人がいる。一括りにはしにくい。
 さて、きょうは金曜か。週末へのanticipationが沸き起こるかな?

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