新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

保守化する日本

2022年05月28日 | 日記

 YouTube配信の「虎ノ門ニュース」は保守派の論客が集う番組だ。ロシアのウクライナへの侵攻を受けて、日本の防衛力強化を声高に主張する。ここに出演する人たちが、BS-TBS「報道特集1930」、BS-FUJI「プライムニュース」に、さらには地上波のニュース番組やワイドショーにもコメンテーターとして顔を出す機会が増えている。すなわち、メディアが国民の関心の動向を敏感に察知して、あるいは国民世論をその方向に導こうとして、かなり大きく方向転換しているようだ。
 保守派の人たちが主張することは、日本が中国、北朝鮮、ロシアという3つの核保有独裁国に接していること、この3国のどこか1国、または2国以上が共謀して日本に侵略してくる恐れがあることだ。それを抑止するために国の防衛力を強化せよ、防衛予算を増やせ、核武装するか核シェアリングをせよという。さらにそのためには、憲法9条を改正せよ、平和憲法は周辺諸国の善意を信頼して成り立つもので、「ならず者国家」が隣りにある現状では現実的でない、という。
 防衛研究所の人や元統合幕僚長をはじめとする自衛隊経験者、軍事専門家らもメディアで見かけるようになった。この人たちは、ロシア軍の作戦のまずさ、戦闘車両や兵器の古さなどを具体的に分かりやすく説明してくれる。
 結果として、ウクライナ戦争が極度に「見える化」されている。いうまでもなく北方領土は知床半島と目と鼻の先だ。石垣島と台湾もきわめて近い。尖閣諸島には中国船が毎日のように侵入している。
 保守派の人たちは核で抑止するのが最上の方法だと主張する。はたしてそうだろうか。それなら日本にかぎらず世界の国々が核をもとうと切磋琢磨することになりはしないか。核不拡散条約はいったい何のためにあるのか。憲法9条を死守しようという人たちは、ほんとうに「お花畑」に生きている人たちだろうか。こんどの参院選で共産党、立憲民主党の大敗北が予測されている。
 日本の核保有を議論すること自体が悪ではない。問題意識を高める必要がある。ただ、なにか問題が起こると、または起こりそうになると、それを回避しようとして国民一丸となってとんでもない方向へ進んでしまう恐れが日本の場合は往々にしてある。
 参院選をまえにして自民党は核シェアリングの議論を封じ込めてしまった。繰り返すが、議論すること自体が悪ではない。国民の一人ひとりが問題意識をもって行動し、最終的に多数の意志に従うことが必要だ。