仏教や仏像には疎い私だが、文殊菩薩の名前は聞いたことがある。いま話題になっている高速増殖炉がここから名前をとっているらしいことはうすうす気づいていた。
あらためてウィキペディアを引いてみた。「文殊、普賢の両菩薩は、知慧と慈悲を象徴する菩薩で、獅子と象に乗っている。それは巨獣の強大なパワーもこのように制御され、人類の幸福に役立つのでなければならない」という願いをこめて命名された、と書いてある。
命名者の願いとは裏腹に、「巨獣の強大なパワー」を制御することはできなかった。だから廃炉へと向かうことになった。「人類の幸福に役立つ」どころか、度重なる事故により人類を危険にさらしつづけてきた。
名前と実態がそぐわないこれほど皮肉な例がほかにあるだろうか。