新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

機械は人間を疎外する

2016年07月17日 | 日記

 炭焼き場に草が生えるので草を刈っている。刈払い機を使わず手作業で・・。するとどこからか声がした。「こんにちは」と言ったのか、よく聞きとれなかったが、遠くのほうで呼んでいる声だった。2度目の声に、どうやら私を呼んでいるらしいことに気づいて「はい」と返事をしてみた。窯のかげから小柄な人が現れた。こざっぱりした装いで布教のビラを配っている人だった。この御仁、布教の話を二言三言で切り上げ、作業場のようすを見て炭焼き窯があることに気づき、「やあ、これは懐かしい」と炭焼きについての自分の見聞をしゃべり始めた。「実際に炭を焼いているところを見たい」とも・・。10分ほど話に花を咲かせて去っていった。
 KHさんが刈払い機を使って草刈りをしていた。朝、遠くから「よう」と手を振ってあいさつを交わしているので、お互いの存在を認識してはいるのだが、大きな音を出し、神経を集中して作業している人には声をかけづらい。「機械は人間を疎外する」ということばが浮かんだのはこのときだった。
 草刈り作業を終えて帰りぎわ、日影原に別荘を構えるOさんが道端で「よう」と手をあげている。Oさんもどちらかといえば手作業を好むタイプのようだ。別荘前の小さな庭にせっせと花や野菜を育てている。原付バイクのエンジンを切ってしばし立ち話をする。イノシシが暴れ回っている話や熊出没の話、それにブルーベリーの発育状況などを話されていた。私からは以前よく木酢液をあげていたので、いまではもう木酢液を採取していないし、在庫はブルーベリー農家が大量に買い取ってくれてもうすっかりなくなったことを伝えておいた。
 車よりバイクのほうが手作業に近く、話しかけやすいのだろう。通りすがりのハイカーに呼び止められることがしばしばある。バイクであちこち眺めながらぶらぶらするのは最高の贅沢だと思っている。