新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

めずらしい仮綴じ・アンカット本

2015年04月12日 | 日記

 私が所有する「ウズ・ルジアダス」の原語版3冊のうちの1冊がめずらしい合本であることに気がついた。
 第5歌まで読み終えたとき、写真中のようなページが挿入され、第6歌がふたたび1ページから始まっている。2巻本として出版する準備をしたものをなぜか仮綴じ本として1冊にまとめてしまったらしい。本を買う側にとって1巻にまとまっているほうが便利だし、2巻に分けて本格製本するかどうかは購入者の懐ぐあいによるだろう。
 私が所有するこの本は仮綴じのお粗末さからすでに綴じ糸がほつれ、瓦解し始めている。ページをペーパーナイフで切り開きながら読むタイプの本ではないが、きちんと本格製本するさいに切り落とすための余白を十分にとってある。アンカット本とは本来「小口が袋とじされている本」を意味するのでなく、本格製本するときに「化粧裁ちするための余白が天地と綴じの反対側に残っている本」を意味する、となにかで読んだことがある。
 この1冊は碩学エピファネオ・ディアスの校注による貴重な本であり、製本しなおしてだいじに使用するべきだろうが費用がかかる。瓦解寸前の本をいたわるように扱いながら読みすすめている。

 イギリス、ロンドン17世紀の話になるが「サミュエル・ピープスの日記」には、ピープスが製本屋にかなりひんぱんに通っているようすが記されている。ひいきの製本屋があり、愛読書を本格製本して所蔵することが当時のイギリス文化人の常識だったことがうかがえる。ピープスは中級官吏だったが晩年には海軍省の実力者にまでのしあがっている。