世界で犬食が現在でも盛んな国は韓国である。
近年の韓国国務調整室が行なった調査によれば、年間200万頭の犬が食べられているという。
これは、にわかに信じ難い数であり、相当な消費量である。
1回の食事でひとりが犬1匹を食すのは考えにくいので、仮に1匹で10食分だとしたら、年間2000万食、半分にしても1000万食の計算になる。
犬市場で有名なのが城南市の牡丹市場だ。
食肉用に集団で育てられた犬たちもいれば、ついこの間まで人間に飼われていた犬たちが売られて食肉にされることもあるという。
ある韓国人は、「幼い頃、田舎で育てられた犬が犬肉にされたことがある。犬肉を食べる度に、その犬のことを思い出す」と言って涙ぐむ。
日本では引取先のない犬が捕らえられて殺処分されるというのも残酷な話だが、韓国ではそうした犬も食肉にされる知ると、さらに驚愕しかない。
つまり、韓国の保護所で殺処分対象となった捨て犬の相当数が、密かに市場に流通しているのだ。
食肉用の牛や豚、鶏はそれなりに体系的に管理されているが、違法の犬はそうではない。
食肉にされるまえの犬舎では、衛生管理がきちんとできていないのが現状のようだ。
その多くが違法で当局による衛生管理が行き届かず、社会問題化している。
犬料理といえば、浦身湯という朝鮮半島古来の料理が一般的で、韓国においては犬肉を野菜とともに煮込んだスープが供される。
88年のソウルオリンピック開催に際し、犬食に対する欧米諸国からの批判があった。
そのため、一時的に犬食に対する取り締まりが一応行なわれたようだが、単に店を大通りから遠ざけて、批判をかわしただけに過ぎなかった。
時代の流れと逆行して、08年にはソウル市当局が正式に犬食の禁止令を撤廃し、食用家畜に分類する発表に至った。
この件に対し、韓国国内に一応存在している動物愛護団体が反発しているが、多勢に無勢な状況であるようだ。