韓国ではひとつの素材そのものを生かして味わうというよりは、いろいろなものを加えて複合的な味を作り出して食べる。
たとえば海苔であるが、日本ではただ乾燥させて切り、醤油をつけて食べる。
韓国の場合には、まず海苔にゴマ油が塗ってあったり、ゴマがついていたりする。
海苔巻きは김밥(キムパプ)という。
街角のいたるところに김밥の店(海苔巻店)がある。
1990年代後半の韓国の小学生のアンケートでは、好きな食べ物ナンバーワンは김밥(海苔巻き)と答えたという。
김밥(海苔巻)も、韓国では、まずゴマ油を塗った海苔の上に、ゴマの入ったご飯をおき、具を入れて巻く。
具の種類は何十種類もあって、김밥(海苔巻き)専門店に行くと、ピザ屋のメニューのように、細かな品目がある。
ともかくいろいろなものをたくさん入れて一緒に食べるというのが重要なのである。
カルビの食べ方でも、日本人はビールを飲みながら、カルビを焼いてそのまま食べたりする。
韓国人の場合には、まずサンチュとよばれるサニーレタスなどの菜をかたわらに置き、ご飯、ニンニクのスライス、練り味噌といったものをもう一方に置く。
焼いたカルビをそのサンチュにのせ、ご飯、ニンニク、そしてネギのあえものをのせて、そこに練り味噌をつけて巻いたものを口の中に頬張る。
この頬張った口のなかに入りきらないような感じがうまさの中心になっていると、多くの韓国人は幸福そうに説明する。
けっしてカルビだけ出を食べるということはない。
必ず野菜やご飯と一緒に総合的に食べるのであって、バランスを考えながら食べている。
焼き肉だけでなく、豚足を食べるときにも、やはり野菜に包んでいろいろなものを混ぜ合わせて食べる。
混ぜ合わせて、同時にいろいろなものを口いっぱいに食べるという考え方が、韓国料理の食事作法の根底にある。