韓国人が「韓国の拉致被害者」に冷淡な理由・・・。
北朝鮮が拉致を認め、五人を返したことは当時の小泉外交の大きな成果といっていいでしょうが、その後この問題に関してはほとんで進展がありません。
拉致被害者家族の心痛を察すると胸が痛みますが、韓国で拉致問題がどのように受け止められているか、日本人はあまり知りません。
北朝鮮による拉致の可能性を排除できない日本人の「特定失踪者」は三百人弱にのぼりますが、韓国でも北朝鮮に拉致されたと疑われる被害者が五百人以上いるといわれています。
それほど多くの人が北朝鮮に連れ去られたのなら、韓国内で大きな社会問題化していそうですが、実際のところ日本ほど大きな問題として取り上げられてはいません。
韓国で拉致されたと考えられる人の大多数は、漁民です。
三十八度線の北朝鮮領海近くで操業し、拿捕された、あるいは時化などで遭難し、北朝鮮側に流れ着いた漁師たちです。
横田めぐみさんのように、普通に暮らしている人が陸から誘拐されたケースは、明らかになっているのは五人程度です。
韓国の拉致被害者には、日本とは違った事情、背景があるのです。
ですから韓国人の中には、「そんなきけんなところで操業するからいけない」と冷めた見方をする人が多くいます。
そのため、あまり大きな同情や奪還論は起きていません。
また、日本と違い、北朝鮮と地続きであり、同じ民族であるということも影響しているでしょう。
異国でなく、北の地で生きているならば、南北関係が改善されれば、いつかは会える日が来るんだろうと、思っている人も多いのです。
日本のように「拉致被害者をなにが何でも取り戻せ」という世論は形成されていません。
これが、韓国内で拉致問題が盛り上がらない理由です。
どのような形態にせよ、拉致は重大な人権侵害ですので、日本政府も、韓国政府も国民の生命と安全を守るとの気概を持って、早期解決に向け北朝鮮との交渉に臨み、一日でも早く、被害者を救出し、その家族の苦痛を癒やしてもらいたいものです。